錫杖 LittleWing その2

Little Wing 5.9 A1
すーさんが6月に引いた新しい錫杖のライン
画像
赤いラインが最終2ピッチのライン (5.9とA1)

今回のRight&Fastの錫杖入りの目的は、この新しいラインの支点整備と残っていた最終ピッチのフリー化。
画像
1ピッチ目(5.9)を登る犬歯さん クラックシステムをオールナチプロで登攀

犬歯さん-IHさんが1P目、2P目のビレイ点にハンマードリルでハンガー整備し、犬歯さんが2P目のフリー化を探ってました。
画像
2Pフリー化目前の犬歯さんとビレイするIHさん

オールナチプロは逃しましたが、フリー化初登おめでとうございます。>犬歯さん
ボルトの有無、グレーディングなどスタイルについてはこれから詰めていきましょう。
画像


ということで、そのままの流れで、1P目をakiさんリードで登る。カジタニ、フォロー。
クラックに沿って登り上げる。ムフフで面白い!と言いたい所だけど、ビビリの入りが大きくて素直に楽しめなかった。露出度&高度感満点です。

で、2P目、フツーの流れでカジタニがリード。
たった今、犬歯さんがフリーではじめて登ったところ、をです。
いや、ちょっと間違いでしょ、と突っ込もうとしたら、すでに1ピン目の残置にA0。
不思議なことに、akiさんは黙ってビレーをしている。
いつもならもういい、降りろと言う場面。台詞忘れたのですか?

頭の鈍いカジタニですが、このときばかりは「貴重な経験を頂いたのだ」と大きな勘違い
「降ります」といわず、ゼーゼーハーハー息を切らしながら、ぼろぼろの残置にA0しまくり。
少しずーつ前進。
あっちゃこっちゃヌンチャクかけーの、カムを突っ込み-のもう何でもあり状態。
フリーのゲレンデなら、「降ります」の一言言えば、そのままロアーダウンで終了。
でも今日のぼろぼろの残置の本チャンのルートはそうは行かない。
絶壁の中では、残置支点が耐えたところで降り場も無い。
何やってもいいから抜けなくてはならない。
画像


ボルト整備されたゲレンデならムーブを起して、抜けそうなところが一ヶ所あった。
しかし躊躇してしまうのは、山岳地帯のルート特有の高度感やプロテクションの信頼性から思い切ったムーブが起せない。 ジムやゲレンデでは味わえない、本ちゃんならではの状況。
断崖絶壁、カムがはじけたり、ぼろぼろのハーケンが抜けたら30-40mまっさかさま?
しかもやってはいけないこと、ギア(ヌンチャク)を落としてしまった。akiさんすみません。
長い時間岩に張り付いているので、足が痛くなり、途中で靴を脱いで休ませたりした。痛くて指がちぎれそうでした。

犬歯さん達が残置していったカムがやっと見えてきた。
快適な?クラックが続いたと思ったら振り子トラバースもどき?して、右の凹角へ。
そこにもカムの残置を発見。
凹角を登り上げ、犬歯さんは左を登り上げたが、カジタニは右へ右へ登ってしまう。
最後の草付をどうつなげるかが最後の核心。
ふと見ると右の凹角に3本のボルトラダー発見。
目の前の岩をのっこすか、凹角のボルタラダーか?
ちょっと岩をのっこすも、ホールドが無いことがわかった。
さんざん迷った挙句、腰につけたたくさんの道具から、長いテープスリング出して、即席あぶみ。かけかえで何とか通過。
草付のブッシュで支点とり、その上の木で終了点。

どれだけ時間がかかったのだろうか、やっとの思いで「ビレイ解除」
しかし、ここで話は終わらない。
こんどはakiさんのビレー。
いっぱいいっぱいの状態だったので、支点の取り方は最悪。お陰でロープが流れない。
疲労困ぱいの体に鞭打って、ロープを必死に手繰り寄せる。
今にも昇天しそうな感じだった。やばい薬をやった人のように・・・
フリーで登るよりもはるかに難しい回収作業をこなしながら、akiさんが登ってきた。
めちゃくちゃな中間支点を残してきてすみません。
画像
フォローのakiさん

懸垂しようというときに意識が飛んでしまう。もういっぱいいっぱいです。
やっとの思いで、Little Wingの取り付きへ。
そこから3回の懸垂で、ちょんぼバンドに到着。
犬歯さん、IHさんと合流。
開口一番「死にました・・・」

テントまでの帰りのアプローチも瀕死状態。
日が落ち、沢の音を便りに薄暗い中を何とか下っていく。
岩小屋に出て、沢下りをしていくうちにakiさんが待っていてくれた。ホントにすみません。
テントと仲間のヘッドランプが見えたとき、やっと生きた心地がした。
IHさんが担いできたビールを皆でのみ、夕飯を楽しみ、焚き木で檀を取る。
焚き木の横で灰をかぶったまま、燃え尽きて寝込んでしまった・・・


犬歯さんや、皆さんの話ではLittle Wingの2P目は5.10の中ほどくらいとの事。
カジタニが登っているときは精神的にイレブン?
ホールドは悪くないので、正解ムーブをつなげていけば5.10台というのも納得。かな
A0連発、A1までやってスタイルとしては最悪だったけど、結果としてぬけた事は事実。
それだけが今回の収穫だった。
残置無視で、オールナチプロで行くのが理想中の理想。
しかし、スタイルと自分の命を天秤にかけて、技量が足りなければスタイルを落としていかざるえない。
最後に残るのが、エイドでぬけること。これすら出来ないことは、すなわち死を意味する。
フリーのゲレンデではダメだと思えばその場でロアーダウンしてリセットできるが、山の中ではそうはいかない。(だからそのリスクがない分、フリーでは高グレードに挑戦できる)
残置無視だのオールナチプロだの言っても、結局は雑誌に踊らされてというか、のぼせているだけだった。
フリーの能力上げれば、エイドは軽視? でも行き詰まったら皮肉にも、最後に頼らなくてはならないのはエイド。 
ジムなど無く、道具や技術が確立していなかった黎明期の先人達はそれしか生きて帰る方法が無かった。 (逆にジムや道具がそろっている今の時代に、フリーの可能性を探ろうとせず、鼻から進化の無いスタイルをやろうとすることが問題だとおもう)

雑誌に掲載されている山岳地帯のルートのグレーディングの数字の裏にある難しさを感じることが出来て、とても貴重な経験をさせてもらった。 akiさんをはじめ、皆さんに感謝です。
浅はかに考えていた自分に、喝を入れることが出来ました。


やることはやったので、次の日は皆さん寝坊。
沢の音を聞きながら、優雅な日曜の朝のひと時をすごして、ピーカンの錫杖を後にする。
温泉で山汗を流し、高山のイタ飯屋で舌鼓をうち、パン屋さんでパンを買って車中で食べる。まだ食うんか?

山好きの皆さん、梅雨明けは間近ですよ。槍の穂先が呼んでます。
画像

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ホッサ
2007年07月09日 23:29
高所でもなく、冬期でもない、ただの夏壁だよ。醍醐味が味わえたんだね、アルパインへの扉を遂に開いてしまったんだ。
もう後戻りは出来ない、目指せアルパインクライマー!
カジタニ
2007年07月10日 01:09
>ホッサン
今まで登った「本チャン」とは違う世界でした。
まだ扉をちょっと開けて覗いた程度ですが、いつしか、ガバッと開いて中に飛び込んでいきたいです。

この記事へのトラックバック